ローマ人の物語

ローマを憎んだハンニバルがローマを強くした

ローマの壊滅を生涯の悲願としたハンニバルは、他の誰よりもどの国よりも、ローマを強大にするのに力を貸してしまったことになる。

文庫版『ローマ人の物語5 ハンニバル戦記(下)』

紀元前218年、カルタゴの武将ハンニバルの軍は、アルプスを越え、ローマの本土に突如侵入し、長年にわた居座り続け、神出鬼没にローマ軍を苦しめ続けた。

しかし、このことがかえってローマとその軍隊をより強く鍛え上げることになった。

その後、カルタゴは滅亡し、反対にローマは巨大帝国として地中海世界の覇者となった。

 

少しスピリチュアルな物言いになってしまうが、「排除したいと意識を集中すればするほど、その対象は存続し続け、むしろ力を増していく」ということが往々にしてあると思う。

ハンニバルは極端な例だが、例えば、嫌なことや嫌いな人に対して、避けようとか、取り除こうとか、執着すればするほど一向にそれが無くならず、むしろ以前よりも自分にとって強固な障害として立ちはだかる、なんてことが結構ある気がする。

この理由について、どこで聞いたか忘れてしまったが、なるほどと思ったことがある。

「人間の無意識は、否定形を理解できない」

例えば、「野球で空振りを絶対するものか」と強く思ったとしよう。

繰り返し、強く念じたことは、人間の深層心理、無意識の領域に落とし込まれる。

しかし否定型を理解できない無意識は、「野球で空振り」の部分は受け取るが、「するものか」という非定型の部分は認識しない。というか、プログラムとしてどう対処していいかわからないのではないか。

「野球で空振り」という失敗の概念だけが、無意識に深く刻み込まれる

本人がどんなに強く、それを打ち消す「するものか」と思っても、無意識には「空振り」のイメージが刻印される。

最新の脳科学の研究では、意識が行動を選択する前に、無意識が行動を起こしていると言われている。

それだけ無意識と言うのは、我々の行動を支配している面がある。

その無意識に「空振り」のイメージがインプットされていれば、自然と行動が「空振り」に向かっているのも道理なのかも知れない。

「失敗を避けたい」と思えば「失敗」が、「Aさんいなくなれ」と思えば「Aさん」が、ますます存在感を強くするのは、こうしたメカニズムなのではないか

だとしたら、このメカニズムを逆手に取って、「自分にとって存在してほしいものや状態」を強く意識すれば、それが具現化されるのかもしれない。

スポーツ選手は、うまくいったシーンを思い浮かべてイメージトレーニングをするが、空振りをイメージして「これはやってはいかん」などという「回避型」のイメージトレーニングは決して行わない。

これは理にかなっているのだ。

結論を言うと、「避けたい不幸にフォーカスはせず、得たい幸福にフォーカスしつづけること」が得策なのだと思う。

ちなみにこちらの文庫版は、とても薄くて読むのが苦にならない。

途中の巻から入ってもいける。

もちらん最初から読むと、壮大な歴史にどっぷり入り込める。

「ローマの歴史には、人類のすべての歴史が凝縮されている」

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